ポルフィリン誘導体の合成

新しい骨格をもつポルフィリン誘導体の合成と機能開拓

 ポルフィリンはヘムやクロロホルムにも含まれる重要な分子骨格です。一般的に4つのピロールとメチン炭素からなる平面性の高いπ共役系化合物であり、周期表のほぼすべての金属と錯体を形成します。また、ポルフィリンは可視光をよく吸収し、酸化還元特性にも優れていることから、電子工学材料、光学材料、生体材料など様々な分野で応用研究が行われています。私たちの研究室では、このポルフィリン骨格の一部を改変させることで様々な構造や機能を有するポルフィリン誘導体を生み出す研究を行っています。

 ポルフィリン誘導体の合成原料として、1,2-ジピロリルベンゼンに着目し、V字型の構造をもつポルフィリン(2.1.2.1)の簡易合成法を報告しました。また、ポルフィリン(2.1.2.1)のV字型構造は環状ポルフィリン誘導体のビルディングブロックとして用いることができ、巻き方の異なる2種類の環状ポルフィリン誘導体の合成に成功しました。

 さらに、1,2-ジピロリルベンゼンを基本骨格として、環状分子の簡易合成法の開発とホスト分子として機能開拓や新たな分子構造をもつ含窒素π共役系化合物の合成法などの開発を目指して研究をしています。